Thursday, October 31, 2013

13年10月沖縄県主要指標

先月の記事: 13年9月沖縄県主要指標

はじめに,県内企業の業況判断を3つの指標で見てみよう(今回初の試みになる).
沖縄県内企業の景況感. 点線は原系列, 実線は季節調整値. 黒線: 沖縄公庫のD.I., 青線: 内閣府沖縄総合事務局のB.S.I., 紫線: 日銀那覇支店のD.I..  出典: 沖縄振興開発金融公庫「県内企業景況調査」, 内閣府「法人企業景気予測調査」, 日本銀行「県内企業短期経済観測調査結果(短観)」.
  • サンプルが大きいのは沖縄公庫で,300~400社ほどが回答している.日銀と総事局だと100社強の回答.
    • 昔は公庫の調査には1000社ほど回答していたようだが…検出力を高める便益が費用に見合わなかったのだろう.
  • リーマンショック以来の不況は,日銀・総事局のデータだと2012年頭頃には脱出している.公庫のデータだとそこから1年遅れで脱出というところ.
    • これまでのエントリでも眺めてきたように,労働市場も2012年頃から潮目が変わってきている.
    • 財政政策かなぁ.
  • 季節調整前のデータだと,今年のQ3はどの指標で見ても大躍進している.

以下はこれまでと同様に,最近公表された指標をだらだら眺める.

鉱工業生産(8月分)は横ばい.今年前半の盛り上がりは消えたまま.
沖縄の鉱工業生産, 2005年=100. 薄灰色が原数値, 黒がDECOMPでの季節調整値, 青がトレンド, ピンクが日本全国のトレンド (2010年基準). 出典: 沖縄県「鉱工業指数」, 経済産業省「鉱工業指数」.

今年の3月頃から,木材の在庫が積み上がっているようだ.
沖縄の鉱工業在庫, 2005年=100. 黒が季調済み鉱工業在庫, 青が木材・木製品工業の在庫. 出典: 沖縄県「鉱工業指数」.
  • 生産は増えたが出荷がいまいち?
    • 建設ラッシュと整合的?
    • 住宅や家具のような耐久消費財のインプット市場に変化?

消費者物価指数(9月分)は,総合では引き続き上昇中.
那覇市のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
沖縄県のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
  • 全国ではコアコアが約5年ぶりにマイナスを脱したところ.しかし沖縄はまだまだ微妙にデフレを引きずっている.
  • 生鮮食品は魚介も野菜も上昇している.
    • 前年同期比で那覇市12.6%, 沖縄県8.2%の上昇. 
    • 最近はスーパーで買い物するときに,青野菜の値段が数十円アップしているような感覚があり,学部時代を思い出す.
  • ガス代が上がっていてコアCPIはプラス成長.
    • 飲食店などのコスト構造の中で,ガスはどのようなポジションなのだろうか.ガス価格上昇が財価格に転嫁されるのは少し想像しにくい.(価格よりは量や品質で調整するのかも.)
  • なんにせよ2%の期待インフレにはほど遠い状況が続いている.予期せざるデフレーション?

そして労働市場.完全失業率(9月分)は男女とも改善しているが,ジョブマーケットから退出した人が多そうだ.
沖縄県の完全失業率, 男性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」

沖縄県の完全失業率, 女性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
  • 就業者数が減り(前月差-0.8万人),非労働力人口が増えている(前月差+2.2万人).完全失業者が減っている(前月差-1万人, 前年同月比-20%)とはいっても,求職→就職というモードチェンジではなさそうだ.
    • 非労働力人口の中で,「通学」や「家事」よりも「その他」という項目が増えている(男性は).インフォーマル雇用やニートが増えているかも?
      • 「その他」が増えているのは若年だけではないが.
    • 男性の自営業主と,女性の家族従業者が顕著に減っている.一家離散の危機?
  • 若年雇用はポジティブ.男女計15~24歳には前月比で次のような変化が見られる:
    • 完全失業者が減
    • 非労働力人口は不変
    • パート・アルバイトは減
    • 中小企業を中心に,正規雇用が増加

一般職業紹介状況のデータ(9月分)からUV曲線を作成.先月までと違った要領で作図してある:
  1. 2008年1月までデータをさかのぼって見た.(先月は2009年1月以降のデータだった)
  2. 縦軸と横軸を入れ替えた.
  3. DECOMPで季節調整.
沖縄のBeveridge curves, 2008/01--2013/09. 2011/12までは黒丸・オレンジの近似線, 2012/1以降は青白丸・緑の近似線. 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」, 沖縄県「労働力調査」
  • 有効求人倍率(季調値)は復帰後最高水準の0.57に.
    • 復帰前の63年7月に記録した0.76という異常値が私の持つデータの中での最大値.記録更新なるか.
      • 記録を更新したところでリアルな何かが変わるわけではないのだが.
  • UV曲線に沿って低失業高欠員に動いているだけでなく,UV曲線自体が外側にシフトしているように見えてきた.(今まではなんだったんだ)
    • 線の引き方は他にもありえる.(instrumentsが必要だが…)
    • でもマッチング効率の悪化が,景気回復に隠れて見えなかったとすると怖い話だ.

Shimer (2005)を手本にしつつUV曲線を定義し直し沖縄のmatching functionを推定してみようと思ったけど,利用可能なデータでは新たに失業状態へと移ったグループとそうでないグループを区別する術がなく(job finding rateが計算できない)挫折.どうしたものか.


学祭のためしばらく連休.研究を進めよう.

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