Wednesday, July 31, 2013

13年7月沖縄県主要指標

先月の記事: 13年6月沖縄県主要指標


例によって鉱工業生産,CPI,完全失業率をプロットする.おおむね産出増・物価上昇・失業率低下,と順調である.ザ・財政政策という感がある.

まずは鉱工業生産指数.先月までは原数値にそのままHP-filterしていたが,今月はDECOMPで季節調整してからHP-filterにかけている.データの始期と直近部分で差が出る模様.
鉱工業生産, 2005年=100. 薄灰色が原数値, 黒がDECOMPで季節しばいたやつ, 青がトレンド, ピンクが日本全国のトレンド. 出典: 沖縄県「鉱工業指数」, 経済産業省「鉱工業指数」
  • 順調.前年同期比で7.7%も上昇.
    • 木材やコンクリートなど,建設資材らしき品目が伸びている.

消費者物価指数はプロットの仕方を変えてみる.これまではCPIとコアCPI(exc.生鮮食品)の水準を見ていたが,今回はCPIとコアコアCPI(exc.酒類以外の食品とエネルギー. 外国でいうcore CPI)の前年同期比を見る.
那覇市のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
沖縄県のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
  • コアコアはCPIに比べ約2/3のウェイト. 消費支出の1/4ほどは食品で,1割弱がエネルギー,のため.
  • コアコアのほうがデフレぎみで変動も控えめ.
    • 食品・光熱費の物価上昇率が4%台だった2008年頃は差が顕著.
  • 今月はコアコア以外の指標(CPI総合, 生鮮食品を除いたやつ, 持家の帰属家賃を除いたやつ)はプラスに.
    • 電気・ガス・灯油が上昇中.(たしかに昨日久しぶりにマイカーに給油したらけっこう取られた気が…)
    • ただ,食品・エネルギーの分が為替レート(名目や実効実質)に影響を受けているかどうかはよくわからない.
  • インフレ率は季節性がほとんどない模様.需要やコストは季節変動するのに…価格硬直性?

完全失業率は男女とも不連続的な改善が見られる.
沖縄県の完全失業率, 男性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」

沖縄県の完全失業率, 女性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
  •  男女とも大幅に改善中.
    • 男性が5.6%(前年同期比-2.1%), 女性が4.0%(前年同期比-1.1%).  
    • 特に25-34歳男性が就職しまくりの模様.
  • 就業者が増えて離職者が減っている状態.非労働力人口は動きなし.
    • 医療・福祉や宿泊・飲食・サービスで雇用が顕著に増加.
      • 全国でも医療・福祉は顕著に伸びている.
    • 建設業の就業者数はさほど増えていないが,一般職業紹介状況を見ると求人は増加中.

建設業について:
  • 沖縄では建設ブームが到来しているようだ.ブログでまだ紹介していない諸々のデータからもそんな予感がしているが,たとえばローカル新聞では次のような記事がある:
  • 最新の毎勤では建設業(規模30人以上)のマンアワーは前年同期比では増加.賃金も少しずつ上昇している.
  • 沖縄振興特別推進交付金と消費税増税の駆け込み需要,が目下のところ要因とおぼしい.
    • 交付金の使途は何かと残念に思う.
  • ブームの要因は長続きしそうにはない.2014年春頃に一旦転換点を迎えそう?
    • VAT8%は予定通り進むとしても,15年10%は不透明になってきている気がする.
  • 私の建設業界知識は金本 (1999)で止まっているので,そろそろアップデートしたい.
    • 金本 (1999)はかなりの良書.特に松村先生の論考は鳥肌モノ.オークションやIOの研究者を中心に続きをやってくれないものかしらん.

参考文献:
  • 金本良嗣 (ed.) (1999) 『日本の建設産業: 知られざる巨大業界の謎を解く』日本経済新聞社

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