Tuesday, February 2, 2016

経済政策II, 第15回, 2015

試験お疲れさまでした.こちらの採点結果も以下に示します.
平均71.2, 中央値70.5, 標準偏差15.2でした.まぁまぁですね.

財政政策の問題は,乗数効果とクラウディング・アウトについて記述してほしかったのですが,金融政策と混同したような解答が散見されました.

労働力率については,講義中に学んだM字カーブについて明確に記述してほしかったです.
男性との違いを意識すれば,M字が生じること,20代前半までを除き労働参加率自体が低いこと,の2点を書くことができるはずです.

グラフではM字のへこみそのものはそれほど大きくないようにも見えます.しかし,非正規雇用率のようなジョブの中身に一歩踏み込んで見ると,性差が歴然とあることがわかります.正社員として働き続けるのはまだまだ難しいのです.



次年度はこの講義はいったん不開講として,代わりに「社会経済統計学I」と「沖縄経済論」を持つ予定です.

社会経済統計学Iではいわゆるエコノメの基礎を学びます.少し羊頭狗肉ですが,みなさんがばりばり統計解析用のソフトウェアを回すことは想定しておらず,経済学の実証研究を紹介しながらデータ・リテラシーを磨くことを予定しています.概念としては,ランダム化,大数の法則,仮説検定,あたりを押さえたいところです.行動経済学で明らかにされてきたような,確率に対する認知の歪みなどもついでに紹介できれば.

沖縄経済論は具体的に何をするか未定ですが,開発経済学や空間経済学といった学問分野で積み重ねられてきた知見を紹介する予定です.沖縄経済の独自性や歴史的経緯などはそれほど集中的に取り上げないかもしれません.残念ながら私は沖縄経済の専門家ではありませんし,沖縄経済をめぐる先行研究を探しても自信を持って教えられるようなものがなかなか見つからないためです.

沖縄研究における最大の問題点は,研究成果の妥当性や研究手法の健全性を担保するような,peer reviewベースの仕組みが機能していないことだと思っています.沖縄経済研究を自称するものはいくつもありますが,我々プロが素直に受け入れられるような議論にはなっていないようです.経済学の最先端から50年は遅れているのではないでしょうか.アマチュアには経済学者や大学教員という肩書きにフリーライドしないでいただきたいものです.

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